生産性 伊賀泰代

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コンサル出身者の仕事ノウハウ本が巷であふれているのは、それこそが彼らの仕事だからです。欧米式サラリーマンの"The 成果"、"The 効率性"を、情報商材として売るのが、彼らの仕事の一つだからです。

 

しかし、彼らはあくまでサラリーマン代表なので、実業家になってビジネスを興すわけでもなく、こういったことで食い扶持を稼いでいるわけです。

 

しかしながら、特に強いこだわりも意思もない、できることならば、会社にずっといたい派の凡人にとっては非常に有用なお話であるわけです。

 

前置きが長くなりましたが、今回は、元コンサルの伊賀さんが書いた本の感想みたいなものを書いてみました。最後の3点目は、日本企業勤めをする方々へのメッセージ(私見)となっております。

 

1.生産性のプライオリティが最も高くあるべきである(他の問題と混同され、重要性が希薄化していた)

 日本人の性質なのでしょうが、質と量の問題を掲げられたときに、頭では認識しているものの、体は「量」を選んでしまいます。もちろん、社会において大成した人間のほとんどは、絶対的な努力"量"を糧に、何かしらの"質"的な転換を経験しています。そのため、"量"的な努力を入口とし、最終的には、生産性の向上に繋げるプロセスが最も現実的なんだと気付きます。

 一方で、現在の日本企業においては、おそらくすべてのキャリアにおいて終始"量"的成果を求める傾向にあり、いつまで経っても"質"的な転換に目が向けられていないことが問題なのでしょう。"量"的な課題解決ではなく(残業時間の削減、資料の削減、売上高の増進等)、"質"的な根本的問題解決(対1時間の成果の大きさ、会議の目的設定・達成、利益率の上昇)を念頭においた議論をすべきというのはこの本の主張ですね。

 言われてみると、至極当然なのですが、様々な方向から問題が語られるにつれ、本質的な問題を人々が忘れかけているということでしょう。

 
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2.日本企業は、生産性を上げるための具体的方策が欠如していた

 例えば、研修の場、もしくはこういった類の自己啓発ビジネス書において、ありがちなのが、理念を語られ、実践的な場に何も生かせないことでしょう。抽象的な意見・指示はやめましょうとありますが、これも何となくは認識されているものの、実践できている人間は大していないように思えます。

 何より、皆が、"大局観"だとか、"コンセプト"だとか、マクロ的視点を称揚した言葉に囚われ、(特に40,50代の管理職に多いですが)一切具体性のない指示やアドバイスがなされてしまいます。マクロ的な視点が語られるべきである一方で、それは、ミクロ的にも実行可能でなくてはなりません。演繹的アプローチ、帰納的アプローチのどちらも同時に達成されることが本来望ましい形であるように思えます。

 よく言われる仮説思考も、実際は、マクロ的な概念だけを当初に決めて動いているわけではありませんし、意思決定が可能であると思われるミクロな情報の細部まで、仮説立てしているようです。

 年上上司も、昔は、具体性のない指示・発注に困惑していたのでありましょうが、いざ自分も管理職になってしまうと、一切昔のことを忘れているものです。そこには、もう自分は雑用はやらずに、コンセプトの提示だけ行えばよい、という実際の成果とまったく離れた意識が存在し、もうあがりだという認識が少なからずあるように思えます。特に、20代の職員は、翻弄されてはいけないし、寧ろ、そういう上司のもとでは、帰納的な視点で情報を集め、今までになかった画期的な成果を上げることが容易とプラスに捉えるべきだと思います。

 

3.日本大企業勤めは、ある意味ブルーオーシャン(私見)

 ここまで、生産性の低い日本の組織において、少し機転が利くあなたが上の先輩・上司よりも成果を出すことは、レッドオーシャンで凌ぎを削る"外資系コンサル"より、まことに容易いことであると言えるでしょう。コンサルも、情報格差の鞘どりで稼いでいます。少し目を外に向けるだけで、情報格差のアービトラージができてしまう日本企業において、優秀な社員となることは屁のツッパリです。周囲の人間に比べて、生産性が高いから、成果も出るし、早く退社できる、もちろん誰も文句を言いません。 レッドオーシャンにいる彼らは、次々と難題を解決することが求められるが、そんなこともありません。 空いた時間で、女の子と遊んで、美味しいもの食べて、また新しいことを勉強すればよいだけ。今の仕事に飽きたら転職すれば良いし、反対に、成長することに疲れたら、ずっと会社にいればよい。日本企業という究極のぬるま湯を、少しの要領と機転で、いかに楽しむかは、自分次第だということなんでしょう。

 

僕自身、最初の数年は、日本企業勤めをしてきましたが、当時こういったサラリーマン啓発本を読むだけで、少し周囲の人間とは違った視点を持ち、同社内初の大型案件を成功させたり、一端の成果を出してきました。そうして日本企業は、ますます僕にとって居心地の良いところになっていきました。

 

外資系に勤めている僕の友人(日本企業から転職した人間も含め)が皆、幸せな人生を送っているわけではありません。日本企業に勤めながら、ブーブー文句を垂れている若手の方々は、今とても幸福な状況にあり、少し心がけを変えるだけで、相対的に圧倒的な成果を出すことができ、ゆりかごから墓場まで、人生安泰を謳歌できるわけです。